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エチオピア: 人権
 

エチオピア人権審議会

(THE ETHIOPIAN HUMAN RIGHTS COUNCIL=EHRCO、以下EHRCOと表記)
Tel: ( (251-1) 514489 / 517704
TeleFax: (251-1) 514539 ( 2432 エチオピア アジスアべバ

 

法による不当な殺害, 強制連行 及び 違法拘留

特別レポート19
1997年12月1日

1. 法による不当な殺害


 何人も本来生きる権利があり、他者の独断で自らの命を奪われるべきではない。これはエチオピア国憲法(第15条)および市民権、国政参与権に関する国際規約(第6条1項)が保障している。特に国際規約はエチオピア政府の批准によるものである。しかしながら、これに反し、政府軍は1997年10月8日夕刻、アジスアベバのバチカン大使館付近でテレファ カンビ氏(Ato Terefe Qumbi)、テスファヤ カムシサ氏(Ato Tesfaye Kumsisa)および ガジサ インサ大尉(Captain Gudisa Insa)を殺害した。エチオピアテレビ・ラジオ放送や州が経営する日刊紙アジスゼーメン(Addis Zemen)は、この殺害に関してアジスアベバ警察本部が発表したプレスリリースを報じた。以下はアジスゼーメン紙、1997年10月10日号の報道内容である。

 1997年10月9日夕刻、エチオピアテレビ・ラジオ放送でも同じニュースを報じているが、さらに殺害された3人はワヨ ワラダ*(Woreda Woreda=日本の「区」に相当する。以下、ワラダと表記)のジェルジュ市で現金を略奪したと断言している。しかし、この部分はアジスゼーメン紙では割愛されていた。殺害30分後、警察の制服を着た警官が到着し、ザンビア大使邸に向かって道路に倒れているテスファヤ カムシサ氏とガジサ インサ大尉の遺体をビデオカメラで撮影した。しかし、テレファ カンビ氏の遺体は撮影しなかった。

 EHRCOが受けた情報によると、夜8時15分頃、テレファ氏宅の門にノックがあり、テレファ氏の義理の母親が門を開けると、そこにテレファ氏が立っていた。彼が自宅に入ろうとした時、どこからともなく太った私服の男が現れ、車の中にテレファ氏を引きずり込んだ。もう一人それほど太くない私服の男が、義理の母親に家の中に戻るように指示した。

  テレファ氏の兄弟、アヤレ カンビ氏(Ato Ayale Qumbi)とテスファヤ カムシサ氏の兄弟、フィカドゥ カムシサ氏(Ato Fiqadu Kumisisa)が二人の遺体を病院から連れて帰ってきた。遺体を調べたところ、テレファ カンビ氏は額を一撃されて亡くなったことが分かった。テスファヤ氏は胸部を数発打たれていた。両氏の遺体は、1997年10月10日午後4時に聖ジョセフ教会に埋葬された。

  テレファ カンビ氏は39歳、アジスアベバ 第23ワラダ 第10カバレ* (Qebelie = カバレ 日本の「町」に相当する。以下、カバレと表記)1866番地に住んでいた。結婚しており、ベレケット テレファ(Bereket Terefe)(3歳)、ダニエル テレファ(Daniel Terefe)(4歳)、アベバ テレファ(Abeba Terefe)(11歳)、ウォークネッシュ テレファ(Worqnesh Terefe)(20歳)の4児の父親であった。1992年まで、テレファ氏は陸軍本部の民事総局で公務員として働いており、その後オロミヤ最高裁判所の総務主任を経て、正式な軍隊訓練を受けたガジサ インサ大尉のチーフとなった。武装軍隊を率いたジェルジュ攻撃は信じがたいものであった。

 ジェルジュ攻撃に関して、ネガソ・ギダダ元首(Negasso Gidada)は反政府勢力EPRDF(エチオピア人民革命民主戦線、以下EPRDFと表記)のアムハラ族による月刊誌「Ifoyta」(1997年9/10月号 第6年度 1号)に次のように述べた。攻撃は地元の強盗とほか数人が始めたことであり、OLF(オロモ解放戦線)によるものではない。しかし、アジスアベバ警察本部は攻撃はテスファヤ カムシサ氏等によるものであると主張している。ガジサ大尉は、解散するまで元第一、第二革命軍につとめていた。

  EHRCOが受けた情報によると、3人は捕らえられた後に殺害された。逮捕時3人は銃などの武器を所持しておらず、銃撃戦はなかった。警察のプレスリリースによると、銃撃戦で警官の一人が負傷したと主張しているが、調査によると警察病院ではメカニサ(Mekanisa)の銃撃戦で負傷した警官が入院あるいは何らかの治療を受けた事実はなかった。また警察のプレスリリースは3人が殺害された時、別の二人の身柄を拘束し取り調べを行なっていたとしているが、アジスアベバ警察本部の刑事情報部に事実関係を調べたところ、殺害当日そのような人物の拘留記録は犯罪報告日誌にも囚人登録簿にも見当たらなかった。

 しかしEHRCOの情報によると、ハイルマリアム ハラ兵士(Private Hailemariam Challa)が殺害当日、身柄を拘束されており現在も消息が確認されていない。同兵士はハイル セラッシー皇帝時代からEPRDFが権力を握り元軍が解散するまで、軍の兵士として務めた。ハイルマリアム兵士は、第23ワラダ 第13カバレ 1571番地に住んでいた。住居は波状の鉄板で壁を作ったもので、平凡な大工として生計を立てていた。

 

2. 強制連行

2.1.消息不明者
  1997年11月6日、午前9時30分、ムラトゥ キネア氏(Ato Mulato Qeneaa)がアジスアベバ、第25ワラダ、 第16カバレを歩行中、警備員に逮捕された。逮捕の理由、同氏の現状、消息などいずれも不明。ムラトゥ氏はアジスアベバ 第8ワラダ 第35カバレ 871番地に在住の元警官隊の一員で、航空警備部隊に異動になってからエチオピア歴1983年末まで部隊で務めた。

2.2. 消息判明者
 以下の人達は政府軍に身柄を拘束され、しばらく消息不明であったが、現在は中央調査調整局に拘留されている。

2.2.1. 1997年9月27日、午後10時、アジサ レメサ氏(Ato Agesa Lemesa)、カリティ クッキングオイル工場(Qaliti Cooking Oil Factory)勤務、がアジスアベバ 第19ワラダ 第57カバレの自宅から警官に連行された。妻のサキットゥ ダババさん(Wro. Saqittu Derbaba)、ミスガナ ダババさん (Wrt. Misgana Derbaba)、ディンカ ベケレ教師 (Teacher Dinqa Beqele)、ムルゲタ クッサ氏 (Ato Mulugeta Kussa)も同時に連行された。
  彼らの消息は1997年11月24日まで判らず安否が気づかわれたが、同日、連邦下級裁判所、第2刑事部に移され、取り調べのため再拘留された。

2.2.2. 1997年9月27日、午後10時、テクル キナッティ氏(Ato Tekle Qinattie)と同氏を訪問していたゲタチュウ ベケレ氏 (Ato Getachew Beqele)が、アジスアベバ 第7ワラダ 第17カバレ 121番地の自宅から連行された。彼らの消息や状態は1997年11月24日まで判らず安否が気づかわれたが、同日、連邦下級裁判所、第2刑事部に移され、取り調べのため1997年12月3日まで再拘留された。テクル キナッティ氏はオロモ語で「DIRMAMMUU(打撲)」という本を書いた。

2.2.4. 1997年9月21日、午前6時、ダバ カムサ氏 (Ato Daba Kumsa)は、警察のランドローバー(認可番号2063および1834)で自宅にやって来た武装警官に寝ているところを起され、その後どこかへ連行された。同氏の自宅はアジスアベバ 第8ワラダ 第02カバレ 1216番地にあり、同じ警官に捜査された。警官は連行する際、銃で氏を脅した。ダバ氏は50歳、消息は16日間不明であったが、1997年10月7日に釈放された。

 

3. 違法拘留 エチオピア国憲法

第19条 3項、およびエチオピア刑事訴訟法 第29条で、逮捕された個人には逮捕後48時間以内に出廷する権利があることを保障している。さらに憲法第21条2項は、何人もその配偶者、パートナー、親戚、友人、宗教上のカウンセラー、医者、相談相手と連絡を取り、訪問をうける機会を保障している。
  これに反して、以下の抑留者は家族から食料は受け取れるものの、家族や友人や弁護士にも面会が許可されていなかった。1997年11月24日に初めて連邦第一簡易裁判所、第2刑事部に移され、取り調べのため1997年12月3日まで再拘留された。

  •  ベイェネ アブディ氏 (Ato Beyene Abdi)、年金受給者、Mecha and Tulema Associationおよび人権同盟のメンバー。ビリスマアート・パブリッシング有限会社の委員会会長。 ティラハン ハーパサ氏 (Ato Tiahun Hirpasa)、ビリスマアート・パブリッシング(有)および人権同盟委員会のメンバー。
  • ベイェネ ベリッサ氏 (Ato Beyene Belissa)、テレコミュニケーション会社の社員、Mecha and Tulema Associationおよび人権同盟の執行委員会メンバー。自分のカバレの平和維持委員会に任務中、間違って発砲された弾丸に当たり右足を切断。
  • ゲビッサ レメッサ氏 (Ato Gebissa Lemessa)、セイブ・ザ・チルドレン(英国)の会計士。 Mecha and Tulema Associationおよびビリスマアート・パブリッシング(有)の委員会メンバー。 フセイン アブディ氏 (Ato Hussein Abdi)、Mecha and Tulema Associationの公報部長。人権同盟のメンバー。
  • ハジ サル カフティ (Haji Sahlu Kaftie)、年金受給者。貿易業者として生計を立てる。人権同盟およびMecha and Tulema Associationの実行委員会メンバー。
  • アジス ベイェネ氏 (Ato Adissu Beyene)、人権同盟メンバー。政府によって活動を停止させれたオロモ救済協会の元管理者。
  • ガジッサ ブルトッサ氏 (Ato Gadissa Bultossa)、オロミヤ農業局の従業員、人権同盟のメンバー。
  • ハイル テルファッサ氏 (Ato Hailu Terfassa)、エチオピア福音ルーテル・メカネ・イエズス教会職員、人権同盟メンバー。
  • ゼウディ チェメダ氏 (Ato Zewdie Chemeda)、アジスケテマ中学の地理学教師。人権同盟メンバー。
  • モハメッド ウェイユ氏 (Ato Mohammed Wayou)、オロミヤ行政事務局職員。
  • アデム ハッセン氏 (Ato Adem Hassen)

 

アドゥナ フィッティ氏(Ato Adugna Fittie)

人権同盟の事務総長、ガルマ ベケレ氏(Ato Garuma Bekele)は出版法の違法により1997年10月27日以来拘留されていると伝えられている。ガルマ氏はビリスマアート・パブリッシング(有)の事務総長も兼任している。ビリスマアート・パブリッシング(有)は週刊ウルジ紙や同じタイトルの月刊誌を発行している企業。ウルジ紙の編集長、ソロモン ネメラ氏(Ato Solomon Nemera)も出版法の違法で訴えられ1997年10月16日以来さまざまな警察で拘留されている。1997年10月16日から11月6日までマエケラウィ(Ma'ekelawi)で拘留され、11月6日から26日まで第9ワラダの警察に身柄を移された。1997年11月26日にマエケラウィに戻され、この報告がなされる現在も同じ場所に拘留されている。ウルジ紙の副編集長、テスファイ デレッサ氏(Ato Tesfaye Deressa)も同様に出版法の違法で1997年10月16日以来さまざまな警察で拘留されている。1997年10月16日から11月6日までマエケラウィで拘留され、11月6日に第10ワラダの警察に身柄を移された。これら一連の事実は人権を侵害するとして、EHRCOは政府に以下のことを要求した。テレファ氏および他2名の殺害について緊急に調査を行ない、殺害者を法のもとに処断すること。ムラトゥ キネア氏およびハイルマリアム ハラ兵士の消息をその家族に公開し、法に基づいて拘留理由を調査し、その他の拘留者についても同様に法に基づく待遇をすること。

さらにEHRCOは、法と人権の尊重を支援するエチオピア国内外すべての人権団体、国際非政府組織、宗教団体、政府および個人に連絡を取り、下記の住所に手紙を書いてエチオピア政府に人権の尊重を促すよう協力を求めた。

     

    Council of People's Representatives
    P. O. Box: 80001; Fax: (251-1) 55 09 00, Addis Ababa, Ethiopia;

    His Excellency Dr. Negasso Gidada, President, FDRE
    P.O.Box: 1031; Fax: (251-1) 55 20 20, Addis Ababa, Ethiopia

    His Excellency Ato Meles Zenawi, Prime Minister, FDRE
    P.O.Box: 1031; Fax: (251-1) 55 20 20, Addis Ababa, Ethiopia

    His Excellency Ato Woredewold Woldie, Minister of Justice, FDRE
    P.O.Box: 1370; Fax (251-1) 55 07 22, Addis Ababa, Ethiopia

    His Excellency Ato Kemal Bedri, President of the Supreme court
    P.O.Box: 6166, Fax: (251-1) 55 02 78, Addis Ababa, Ethiopia

 


新曲「ルワンダの歴史を繰り返さない」ソロモン・テカリグ
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